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医学のうんちく/PM2.5と不妊

2018年1月12日
 ひところ中国から飛来したり、国内で発生したりする大気汚染物質のPM2・5(微小粒子状物質)が人体に与える影響が話題になりましたが、最近になって不妊にもつながりかねないという気になる報告も出されています。

精子の正常形態率が低下

 2017年に香港中文大学の研究チームが15~49歳の男性約6500人を対象に、短期(3カ月)と長期(2年)に分けてPM2・5にさらされた場合の精液に与える影響を調査しました。
 それによれば、PM2・5の濃度が上昇すると正常形態率は短期で0・83%、長期で1・29%それぞれ減少することが分かりました。PM2・5がDNAにダメージを与え、精子の産生を変化させることが示唆されたわけです。

医学のうんちく/PM2.5と不妊

不妊症リスクも上昇

 また米ハーバード大学の研究チームは、25~42歳の女性看護師約3700人を対象に1989~2003年まで健康調査を実施しました。
 その結果、不妊女性は2508人で、幹線道路から199メートル以内に住む女性は200メートル以上に住む女性に比べ不妊症発症リスクが11%高いことが分かりました。 
 PM2・5は主として車や工場から排出されることが知られています。同研究チームはまた、PM2・5濃度が高まるごとに不妊症発症リスクが増加することも報告しています。

注意喚起が出たら
 PM2・5の排出国として世界から非難を浴びている中国ですが、大気汚染抑制措置がとられるようになり、同国でのPM2・5の濃度は低下傾向にあるとか。
 また住まいや環境はすぐに変えることは難しいため、必要以上に神経質になる必要はないとは思いますが、自治体から住民に対してPM2・5に関する注意喚起が行われたらマスクの着用や、不必要な外出を控えることが望ましいのかもしれません。


医学のうんちく/PM2.5と不妊
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次 (ささがわ・いそじ)
プロフィール
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。