徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> ザ・サークル

2017年10月27日
SNSの恐怖を描くスリラー

 24歳のメイ・ホランドは、地元企業の派遣社員として顧客に電話で支払いを促す仕事にやりがいを見いだせず、鬱々とした日々を送っていた。
 そんなある日、大学時代の親友の勧めで彼女が勤める世界最大シェアを誇るSNS企業・サークル社の面接を受け、晴れて入社を果たす。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ザ・サークル

 憧れのサークル社は終業にパーティーが開かれたり、有名なミュージシャンが芝生で演奏したりと理想的な環境で、メイはすっかり夢心地に。
 ある事件をきっかけに、メイは創始者でカリスマ経営者のイーモン・ベイリーの目に留まり、新サービス「シーチェンジ」の実験モデルに抜擢される。
 その実験とは、超小型ワイヤレスカメラを至る所に設置し、自らの24時間をすべてオープンにするというもの。メイはあっと言う間に1千万人を超えるフォロワーを獲得し、会社のアイドル的存在となる。
 それはイーモンが掲げる理想「全人類が全てを隠すことなくオープンにする社会」実現への大きな一歩で、メイの会社での発言力も増していく。
 だが、その理想社会は恐ろしさもあわせ持っていた。メイのプライバシーが失われるだけでなく、両親を傷つけ、幼なじみも失うことになってしまうのだった――。

 ヒロインのメイを演じるのは、「ハリー・ポッター」シリーズのハーマイオニー役でブレイクし、「美女と野獣」のベル役で見事に大人の女優として開花したエマ・ワトソン(27)。イーモンを「フィラデルフィア」「フォレスト・ガンプ/一期一会」で2年連続アカデミー主演男優賞受賞以来、オスカー常連となった名優トム・ハンクス(61)が演じている。

 「透明な社会」を提唱するイーモンが「透明社会教」の教祖、それを盲目的に信望する社員が信者に見えてきてゾッとする。プライベートが可視化された世界の恐怖とSNSが陥りやすい様々な弊害を浮き彫りにしたサスペンス映画。


<荒井幸博のシネマつれづれ> ザ・サークル
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。