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<荒井幸博のシネマつれづれ> ナミヤ雑貨店の奇蹟

2017年9月22日
時空を超えたファンタジー

 児童養護施設出身の敦也は幼なじみの翔太、幸平と悪事を働き、夜の街をさまよいながら1軒の廃屋に逃げ込む。屋内に残されていた古雑誌によると、そこはかつての店主、浪矢雄治が悩み相談に真摯に答えてくれることで有名な「ナミヤ雑貨店」だった。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ナミヤ雑貨店の奇蹟

 3人が店内を物色していると、突然、シャッターの郵便口から手紙が投げ込まれる。手紙を開けると、そこには月のウサギと名乗る相談者からの悩み事が書かれていた。それは32年前に書かれた手紙で、敦也たちは戸惑いながらも店主に代わって返事を書くことに。
 しばらくすると別の手紙が投げ込まれ、それにも返事を書く3人。そしてまた別の手紙が…。
 次第に明らかになっていく雑貨店の秘密と、敦也たち3人と相談者との共通点。彼らがこの雑貨店に逃げ込んだのは偶然ではなかったのか――。

 東野圭吾の同名小説を廣木隆一監督が映画化。原作は2012年に刊行され、「最も泣ける東野作品」として800万部の大ヒットを記録した。
 また廣木監督は今年だけでも「PとJK」「彼女の人生は間違いじゃない」が公開されるなど、毎年コンスタントに2~4本の映画を発表しており、いま最も忙しい監督として注目されている。

 不幸な境遇から世をすね、現実に背を向けて生きてきた若者が、雑貨店主に代わって悩みに応えることで自身が変わっていく奇跡の物語。3人の若者を演じるのは「Hey! Say! JUMP」の山田涼介と村上虹郎、寛一郎。村上、寛一郎はそれぞれ村上淳、佐藤浩市を父に持つ期待の若手。
 悩み相談に答えることを生きがいにしている店主を演じるのはベテランの西田敏行。時空を超えた山田と西田のコントラストが見事。

 このほか尾野真千子、成海璃子、林遣都、門脇麦、萩原聖人、小林薫、吉行和子、手塚とおる、鈴木梨央らの個性派が脇を固める。


<荒井幸博のシネマつれづれ> ナミヤ雑貨店の奇蹟
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。