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<荒井幸博のシネマつれづれ> 世界にひとつの金メダル

2017年9月8日
馬の躍動美が目を見張る

 幼いころから父の指導で障害飛越競技(しょうがいひえつきょうぎ)に打ち込んできたピエールだったが、成長すると父の過剰な期待から逃れるように都会で弁護士に。だがキャリアを積むうちに障害飛越競技は父ではなく自分自身の夢だったことに気付き、一度は諦(あきら)めた騎手の道に戻る。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 世界にひとつの金メダル

 競技馬としては小柄で欠点だらけだが、ジャンプ力は抜群のジャップルーと出会い、父と二人三脚で鍛錬の日々が始まる。次々と国際競技に出て躍進を続けるが、国民の期待を背負ってのぞんだ1984年のロサンゼルス五輪では落馬して失格という大失態を犯してしまう。
 ピエールは監の方針が間違っていたとチームを抜け、それを諭(さと)す父にも反発。挙句(あげく)に身重の妻の反対を押し切ってジャップルーを手放そうとするのだった。

 エリート弁護士の座を投げうち、ロス五輪から4年後の88年のソウル五輪で金メダルを獲得した異色の障害飛越競技選手の実話を、自身も馬術経験を持つギョーム・カネ主演・脚本で描いた感動のフランス映画。
 製作費35億円を超えるこの超大作は、ロサンゼルス、ソウルと2つのオリンピックを完全再現し、壮大なスペクタクルに仕上げている。
 父にダニエル・オートゥイユ、妻をマリナ・ハンズ、米国の名優ドナルド・サザーランドがサンフランシスコの富豪役で登場する。監督はクリスチャン・デュゲイ。

 フランスでの観客動員数は200万人に及び、セザール賞、リュミエール賞、ケベック映画賞などを軒並み受賞、モントリオール世界映画祭でも大きな話題を呼んだ。
 だが障害飛越競技という特殊性からかフランス、イアリア、カナダ以外の国では上映されていない。映画の本場、米国でさえも。日本での公開はフランス公開から4年も経てのことだ。

 東京五輪を3年後に控え、障害飛越競技の面白さ、馬の躍動美をぜひ味わって欲しい。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 世界にひとつの金メダル
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。