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<荒井幸博のシネマつれづれ> 関ケ原

2017年8月11日
天下分け目の戦い描く

 司馬遼太郎の同名小説を、「クライマーズ・ハイ」「日本のいちばん長い日」などでメガホンを取った原田眞人監督が構想25年、ようやく映画化にこぎつけた大型時代劇。出演は岡田准一、役所広司、有村架純ら。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 関ケ原

 幼くして豊臣秀吉に才を認められ、秀吉の小姓となった石田三成(岡田)は成長して大名に取り立てられる。猛将・島左近や忍びの初芽(有村)らを配下に秀吉の奉行として辣腕(らつわん)を振るう。
 三成の真っすぐな性格や物言いは、秀吉恩顧の武将の中で加藤清正などアンチ勢力も生み出すことになる。秀吉が老いとともに体調が思わしくなくなってくると、天下取りの野望を抱く徳川家康(役所)がアンチ三成勢力を味方につけるべく画策を始める。三成はそんな家康が気にくわない。
 そして慶長3年(1598年)に秀吉が死ぬと、およそ2年の月日を経て豊臣家への忠義と正義を貫こうとする三成と、家康とが雌雄を決する関ケ原の合戦の火ぶたが切って落とされる。

 2014年公開の「蜩ノ記」では師弟を演じた役所と岡田の役回りが興味深い。不器用なまでの真っ直ぐさが本人と重なり、乗馬や殺陣を見事にこなした岡田、特殊メイクで深みと狡猾(こうかつ)さを強調した役所のほか、三成と心を通わせる忍びを可憐に演じた有村の演技が目を引く。
 このほか小早川秀秋に東出昌大、豊臣秀吉に滝藤賢一、直江兼続に松山ケンイチなど、現在考え得る最高の配役で原田監督の演出の下、一糸乱れぬ大活劇が展開される。
 深緑美しい草原と森に囲まれた関ヶ原を、ロングショットでゆっくりと捕らえた空撮を多用したカメラに豊臣の黄色と徳川の赤の母衣(こうかつ)武者がよく映える。

 不肖・荒井は20年前に原田監督から構想を伺っていたのだが、具体的な映画化の話が聞こえてこなかったので「原田監督をしても難しいのか」と諦めかけていた。
 原田監督、ついにやりましたね!


<荒井幸博のシネマつれづれ> 関ケ原
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。