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<荒井幸博のシネマつれづれ> いつまた、君と~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~

2017年6月23日
激動期の愛と絆の夫婦愛

 80歳を過ぎ、亡夫・吾郎との思い出を手記としてパソコンでつづっていた芦村朋子は脳梗塞(のうこうそく)で倒れてしまう。朋子の作業を引き継いだ孫の理は、戦中から戦後の激動の時代を懸命に生き抜いた祖母・朋子と祖父・吾郎の波乱の歴史と、50年に及ぶ愛と絆の物語に気づくのだった――。

<荒井幸博のシネマつれづれ> いつまた、君と~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~

 原作は俳優・向井理の祖母・芦村朋子の半生記を記した「何日君再来」。映画で描かれているように、向井が大学生の時に祖母の手記をパソコンで打ち直し、家族や親戚とともに自費出版、卒寿(90歳)を迎えた祖母へお祝いとしてプレゼントしたもの。
 向井自身が7年前から映画化を熱望し、企画にも携わった渾身(こんしん)の作品。朋子の若き日を尾野真千子、吾郎を向井がそれぞれ好演している。

 先日、主演の向井さんと尾野さんにお会いして話をうかがう機会に恵まれた。
 向井さんが「尾野さんがいれば現場が明るくなり、笑顔を見ているだけで幸せな気持ちになれる。そういう方と夫婦をやれたのは僕の財産です」とエールを送れば、尾野さんは「向井さんは人に優しく自分に厳しい素敵な方」とニッコリ。 また尾野さんは「脚本を読んでとても素敵な女性像の方だったので、どんな厳しい状況下でも笑顔で支えようと心がけました」と話してくれた。

 脇を固めるのは岸本加世子、イッセー尾形、駿河太郎ら。そして高齢になった祖母・朋子を演じたのは、6月13日に81歳で急逝(きゅうせい)された野際陽子さん。野際さんは放送中の倉本聰さん脚本の連続ドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)に出演して変わらぬ姿を見せていただけに、突然の訃報(ふほう)には驚かされた。

 副題にもなっている主題歌の「何日君再来」は80年前の中国映画の挿入歌で、日本でも渡辺はま子やテレサ・テンらが歌ったなじみ深い曲。本作では女優・高畑充希が伸びやかな声量を聞かせてくれる。


<荒井幸博のシネマつれづれ> いつまた、君と~何日君再来(ホーリージュンザイライ)~
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。