徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 追憶

2017年4月28日
25年間封印された秘密が
 富山の漁港で男の刺殺体が発見される。県警捜査一課の四方篤(岡田准一)は遺体を見て驚愕する。それは幼なじみの川端悟(柄本佑)だった。
 25年前の1992年、親に捨てられた13歳の四方は同じ境遇の田所啓太、川端悟と兄弟のように過ごし、喫茶店を営む仁科涼子(安藤サクラ)と常連客・山形光男(吉岡秀隆)と家族のような関係を築いていたが、ある事件をきっかけにその幸せな日々にピリオドが打たれ、5人は一切会うことはなくなっていた。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 追憶

 殺された川端は婿養子先のガラス店が倒産寸前で家族のために金策に奔走していた。田所(小栗旬)は経営する工務店も順調で、妻(木村文乃)は妊娠、新居を建築中と幸せの絶頂だった。
 だが田所が事件の前日に川端と会っていたことから容疑者に浮上。25年ぶりに再会した四方にどんなに疑われても田所は真実を語ろうとはしなかった。そうまでして守ろうとしたものは――。

 「駅 STATION」「居酒屋兆治」「夜叉」「あ・うん」「鉄道員」など14本の名作を世に送り出してきた降旗康男監督(81)と木村大作撮影監督(77)の黄金コンビが9年ぶりにタッグを組んだ作品。
 木村撮影監督は「降旗監督とのタッグのうち7本が高倉健さんの主演映画。この映画で、3回忌を過ぎた健さんへの思いを映像で表現しようと思いました」「鷹が飛んでいるシーンは鷹を天に昇らせる形で表現しましたが、その鷹は健さん。これからを背負って立つ若い俳優さんたちを天から見守って欲しいという気持ちを込めました」と明かした。

 実際、岡田、小栗、柄本、安藤、木村、そして四方の妻役の長澤まさみらの好演が目を引く。健さんは北陸の寒々とした日本海と勇壮な立山連峰を眼下に見据えながら、彼らを頼もし気に鳥瞰してくれていたのではないだろうか。
 最後に、録音は酒田市出身の石寺健一さんということを付記しておく。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 追憶
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。