徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 破門 ふたりのヤクビョーガミ

2017年1月27日
痛快なバディ・ムービー

 うだつのあがらない建設コンサルタントの二宮(横山裕)は仕事がなく、手伝っている従妹の悠紀(北川景子)への給料の支払いもままならない。仕事を通じて暴力団二蝶会の武闘派ヤクザ・桑原(佐々木蔵之介)と知り合ったのが運のつきで何かとトラブルに巻き込まれる。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 破門 ふたりのヤクビョーガミ

 ある日、二宮は小清水(橋爪功)という男が持ち込んだ映画への出資話を二蝶会の若頭(國村隼)に紹介するが、小清水は若頭が出資した3000万円を持って愛人(橋本マナミ)と行方をくらましてしまう。
 小清水を追って大阪からマカオに飛ぶ桑原と二宮。途中、邪魔をするチンピラを病院送りにするが、彼らは二蝶会の本家・滝沢組の構成員だったから大変、追う立場から追われる立場になった2人は生き残りをかけて大勝負に挑むが――。

 原作は黒川博行の「疫病神」シリーズ5作目で第151回直木賞受賞作「破門」。昨年公開の「後妻業の女」も黒川原作の映画化だったが、同様に大阪が舞台で全編関西弁が飛び交う。
 「関西弁を自然にしゃべれる役者のキャスティングが原作者の条件」だったそうで、佐々木、横山、橋爪、國村、北川ら関西出身の俳優たちの関西弁がテンポよく飛び交う。特に佐々木と横山のやりとりは漫才のような可笑しさで笑える。

 小林聖太郎監督は「黒川さんは桑原を品のある人物として描いたそうですが、佐々木さんが見事に桑原を演じてくれたと喜んでいました」と相好を崩す。佐々木さんも「桑原のような面白い役に巡り会えることはそうはありませんから、嬉しくてやり甲斐がありました」とエールを返す。
 関西人ではないのは山形出身の橋本マナミさんだけだったが、「橋本さんは音感がいいのでしょうか、関西弁はなんの違和感もなく素晴らしかった」と小林監督と佐々木さん。
 続編が観たくなる痛快エンターテイメント・バディ・ムービー。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 破門 ふたりのヤクビョーガミ
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。