膝(ひざ)の話
2008年2月8日
医療は日進月歩。膝痛の治療もここ数年で目覚しく進歩しています。今回は膝痛に対する手術治療の現状について紹介しましょう。
内視鏡手術とは
手術に依らない治療法(保存療法)では膝痛改善が見込めない場合、最終的手段として手術が施されます。現在では手術による損傷を最小限に抑えることが重要視され、修復すべき部分以外の皮膚や筋肉へのダメージを最小限にとどめる「最小侵襲手術」が主流になっています。
最小侵襲手術の典型が「内視鏡手術」です(図1)。皮膚をほんの数ミリ切開し、そこから内視鏡を通して施術するやり方ですが、膝関節全体へのアプローチが可能です。健常な組織をほとんど犠牲にすることなく、病巣部分に到達し治療が行なえます。スポーツ選手の膝の外傷の手術から高齢者の変形性膝関節症の手術まで幅広く使われています。
骨切り術とは
関節機能の温存効果が高いとして再評価されているのが「骨切り術」(図2)。これはO(オー)脚をX脚気味に矯正することで軟骨の再生を促す手術です。損傷部分を直接いじることなく、損傷部分に加わる負担を軽減することで人間の治癒能力を引き出す方法です。
従来はリハビリ期間が長く、症状改善にも時間がかかるとされていましたが、手術法の改良で短縮が図られています。
軟骨移植とは
「軟骨移植」も進歩しています。膝関節内の荷重がかからない部分から軟骨を採取し、損傷した軟骨部分に移植する手術も一般的になってきました。痛んでいる軟骨部分に自家培養した軟骨細胞を生着させる試みも一部の病院では始まっています。
人工関節置換術とは
虫歯の治療で削った歯に金属を被せるのと同じように、膝の痛んでいる軟骨や骨を削り金属で覆う「人工関節置換術」(図3)でも進歩が見られます。人工関節の耐久年数を長くしたり、膝を深く曲げられるようなデザインの工夫などが進んでいます。
担当医に十分な相談を
最小侵襲の考えから、手術による体へのダメージは格段に小さくなってきました。ただ保存療法に比べ麻酔や手術による体への負担は残り、時に合併症が生じる危険があるのも事実。手術治療に際しては担当医と十分に相談し、信頼関係を築いたうえで受けられることをお薦めします。
【今回の先生】山形徳州会病院 大沼 寧(おおぬま・やすし)/
1965年(昭和40年)、横浜市生まれ。91年山形大学医学部卒業後、横浜市立大学付属浦舟病院などを経て、2001年〜02年にドイツ・ベルリンへ留学。帰国後、04年から山形徳洲会病院整形外科部長。日本整形外科学会専門医、日本体育協会公認スポーツドクター、モンテディオ山形チームドクターなども務める。42歳。
