徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> 疾風ロンド

2016年11月25日
痛快エンターテインメント

 10日間で100万部越えを記録した東野圭吾の同名サスペンス小説を、「サラリーマンNEO」「あまちゃん」といったNHK人気ドラマの演出を手掛けた吉田照幸監督が映画化した作品。
     

<荒井幸博のシネマつれづれ> 疾風ロンド
医科学研究所から秘密裏に作った生物兵器が盗まれ、「人質は全国民。身代金の3億円を用意しろ」との脅迫メールが届く。違法な兵器なので警察には通報できない。タイムリミットは4日。
 生物兵器を捜し出す厳命を受けたのは、しがない中年研究所員の栗林和幸。手がかりは日本最大級のスキー場・野沢温泉スキー場とにらんだ栗林は息子の秀人とともに現地に向かうが、スキーの腕前があまりに下手過ぎて秀人から呆(あき)れられる始末。そんな栗林を密かに付け狙う者がいた――。

 栗林を阿部寛、息子・秀人を濱田龍臣が演じるほか、関ジャニ∞の大倉忠義、大島優子、柄本明、ムロツヨシ、堀内敬子、戸次重幸らユニークな顔ぶれが出演。
 原作は東野圭吾にしては珍しくコミカルだと思ったのだが、吉田監督によれば「東野先生の初期の本はそういうテイストが多く、久しぶりに出会えて嬉しかった。映画化の話をいただき『ぜひやらせてください』とお願いしました」とか。
 スキー場で立ち並ぶ樹林を縫(ぬ)っての滑走シーンのスピード感と臨場感は見ものだが、「ヘルメットカメラを地元のスキーヤーにつけてもらって撮影したんですよ」と舞台裏を明かしてくれた。

 重要な役を演じた濱田さんは「自分で考えることの大切さを監督に教えられた。今後の俳優生活に活かしていきたいと思います」と話す。
 NHK大河ドラマ「龍馬伝」で龍馬の少年時代を演じてから6年。今や16歳、身長175センチの凛々(りり)しい若者に成長した濱田さん。今後が楽しみな俳優である。

 サスペンス、ミステリー、コメディ、アクション、家族愛などをふんだんに盛り込んだ痛快エンターテインメント作品。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 疾風ロンド
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。