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<荒井幸博のシネマつれづれ> 秘密 THE TOP SECRET

2016年8月12日
死者の記憶から暴かれる真実
 清水玲子の人気コミックを実写化したサスペンスミステリー。
<荒井幸博のシネマつれづれ> 秘密 THE TOP SECRET

 死者の脳をスキャンし、生前の記憶を映像化するという画期的な技術が開発される。この最新鋭の技術を使う警視庁のエリート集団〝第九〟こと科学警察研究所法医第九研究室の室長・薪剛(生田斗真)、新人捜査官・青木一行(岡田将生)らは、自分の家族を惨殺して死刑になった男の記憶を映像化する。
 行方不明になっている男の娘・絹子を探し出すのが目的だったが、映像は驚愕の真犯人を映し出し、そこから事件は連鎖して第九の闇が浮かび上がっていくのだった。

 生田、岡田のほか松坂桃李、栗山千明、大森南朋、吉川晃司、椎名桔平、リリー・フランキー、大倉孝二、木南晴夏ら豪華キャストが競演。特筆すべきは絹子を演じた織田梨沙で、オーディションで選ばれた新人ながら堂々たる怪演を見せる。
 監督は盛岡市出身で、NHK職員時代にドラマ「ちゅらさん」「ハゲタカ」「龍馬伝」などの演出を手がけ、独立してフリー監督になってからは映画「プラチナデータ」「るろうに剣心シリーズ」のメガホンをとった大友啓史。
 原作者の清水玲子が「紙とペンだけで勝負する漫画家として『映画なんかには負けない』と頑張ってきたが、この映画を観た時は負けた気がした」「凄すぎる。完敗したのにこんなに嬉しい負けはない」と絶賛していることを付記しておく。

 本作もそうだが、このところ「ヒメアノ~ル」「クリーピー偽りの隣人」「葛城事件」など、サイコパスな殺人者を描いた映画が立て続けに公開されている。
 神奈川県の障害者施設やまゆり園で起きた無差別殺傷事件や、目黒区の碑文谷公園の池で発見されたバラバラ殺人死体遺棄事件などを目の当たりにするにつけ、一連のサイコパス映画と現実がすぐ隣り合わせになっているようで愕然とさせられてしまう。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 秘密 THE TOP SECRET
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。