徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ

2016年6月24日
クドカン・ワールド全開!!

 高校3年生の大助(神木隆之介)は、修学旅行のバスの中で大好きなひろ美ちゃん(森川葵)の隣の席をゲットするも、アクシデントでバスは谷底へ転落。目覚めるとそこは地獄だった。
 狼狽する大助を待ち受けていたのは、地獄農業高校の軽音楽部顧問で地獄専属ロックバンド・地獄図(ヘルズ)を率いる赤鬼のキラーK(長瀬智也)。エンマ大王(古田新太)の裁きで現世に戻れるチャンスがあるとキラーKから聞かされ、Kの鬼特訓のもと、生き返りを賭けた大助の地獄巡りが幕を開ける――。

<荒井幸博のシネマつれづれ> TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ

 地獄図のメンバーはドラマーCOZY(桐谷健太)、ベーシスト邪子(清野菜名)などで、演奏は見事。対抗するガールズバンド・デビルハラスメントもリーダーのじゅんこ(皆川猿時)、修羅(シシド・カフカ)らが迫力のある演奏。
 他に一流ギタリストCharと野村義男のギターバトルなど、ロック好きも楽しめる映画だ。

 脚本・監督を手掛けた宮藤官九郎さんによれば、今回は舞台っぽく、他で見たことがない演出を心がけたという。宮藤さんの普段の活躍の場は舞台なので意外な感じもしたが、これまでの映画では何故か舞台色は禁じ手にしていたとか。4作目で地獄をセットにしたら「うまくハマった」という。 
 「輪廻転生」という仏教での死生観は海外では理解されにくいかと思いきや、ロッテルダム映画祭では爆笑が起きたというこぼれ話も明かしてくれた。

 大助が小鳥やザリガニ、アシカ、犬等々に転生を重ね、現世で年を重ねたひろ美ちゃん(宮沢りえ)との時空を超えた再会はやるせないし、想いのすれ違いに思わず涙。キラーKの現世のエピソードも含め、切ないラブストーリーにも引き込まれる。
 ちなみに衣装を担当したのは真室川町出身の荒木里江さん。荒木さんは公開中の「世界から猫が消えたなら」でも衣装を担当している。


<荒井幸博のシネマつれづれ> TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。