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<荒井幸博のシネマつれづれ> ちはやふる ―上の句・下の句―

2016年4月22日
秀逸な熱血青春映画

 公開中の「ちはやふる上の句」は、競技かるたに打ち込む高校生たちを描いた末次由紀の大人気コミックの実写映画化。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ちはやふる ―上の句・下の句―

 幼なじみの綾瀬千早(広瀬すず)、真島太一(野村周平)、綿谷新(真剣佑)の3人は競技かるたに熱中してたが、新は家の事情で福井に引っ越してしまう。
 競技かるたを続けていれば新に会えると、高校に進学した千早は競技かるた部の創設を決意、高校で再会した太一と部員集めに奔走する。試合に必要な5人をなんとか集め、猛練習に励んで東京都予選を目指すが、行く手には強豪校が次々と立ちはだかる――。
    
 4月29日から公開の「ちはやふる 下の句」では、史上最年少で女子日本一になった桁違いに強い若宮詩暢(しのぶ)(松岡茉優)が登場する。そして、競技かるた永世名人で尊敬していた祖父の死の喪失感から立ち直れないでいた新は、千早と太一の前に現れるのか――。

 原作のファンで、映画化を熱望していた小泉徳宏監督がこだわったのは配役だったという。実績のある広瀬すず、野村周平以外は大規模なオーディションを敢行した。
 新を演じた真剣佑(まっけんゆう)はアクションスター・千葉真一の息子ながら日本での実績はわずか。端正なマスクで父親譲りの身体能力を持つが、今作ではそれらを封印し、メガネをかけた福井訛(なま)りという役どころを好演している。ブレイク必至と見た。
 広瀬すずは千早そのもの!格闘技と見紛うような競技かるたの厳しい練習で膝に水がたまり、たまった水を抜きながら演じたという。弱冠17歳ながら主役の責務を立派に果たしている。
 野村は千早に思いを寄せながらも新を慕う千早を慮(おもんばか)り、自分の気持ちを押し殺してバックアップするという複雑な役を見事に演じている。

 「上の句」は明るくコミカルな青春ドラマ、「下の句」は恋愛もからむ深い人間ドラマと色合いが異なる。続けて観ることをお勧めします。


<荒井幸博のシネマつれづれ> ちはやふる ―上の句・下の句―
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。