徹底して山形に密着したフリーペーパー

<荒井幸博のシネマつれづれ> エヴェレスト 神々の山嶺

2016年2月26日
目を見張る圧巻のスケール
<荒井幸博のシネマつれづれ> エヴェレスト 神々の山嶺

 山岳カメラマンの深町誠は、ヒマラヤ山脈を望むネパールの首都カトマンズの古道具屋で1台の古いカメラを目にする。そのカメラは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーが1924年6月8日にエベレスト初登頂に成功したのか否かという、登山史上最大の謎を解く可能性を秘めたものだった。
 カメラの過去を追う深町は、かつて天才クライマーと呼ばれながら、無謀で利己的性格ゆえ孤立した伝説のアルピニスト・羽生丈二と出会う。
 深町は羽生の過去を調べるうちに、羽生が登山家としては既に峠を越した年齢でありながら、エべレストの最難関ルートである南西壁の冬季単独無酸素登頂を目論んでいることを知る――。

 本作は日本映画史上初めてエベレストの標高5200メートル級での撮影を敢行。深町役の岡田准一、羽生役の阿部寛ほかキャスト、スタッフは10日間かけて高度順応しながら登り、1カ月以上にわたるネパール・ロケに命懸けで挑んだ。
 それは厳しくも神秘的なエベレストの風景、岡田、阿部らの過酷な登山場面に見事に昇華されている。
 脚本を担当したのは東北芸術工科大学映像学科教授として2010年から13年にわたり教鞭を執っていた加藤正人さん。以前から山に造詣が深かったのかと思いきや、お話を伺うと「この映画のシナリオを書くまで山登りの経験はゼロ。1度だけ平山秀幸監督と高尾山に登り、その次がいきなりエべレストでした」と教えてくれた。

 ガップリ4つに組んだ岡田と阿部を尾野真千子、佐々木蔵之介、ピエール瀧、甲本雅裕、風間俊介、山中崇らが脇を固め、物語をより奥行き深いものにしている。


<荒井幸博のシネマつれづれ> エヴェレスト 神々の山嶺
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。