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<荒井幸博のシネマつれづれ> さらば あぶない刑事

2016年2月12日
10年ぶりの劇場版・最終章
1986年にテレビ放送が始まった「あぶない刑事シリーズ」の10年ぶりの劇場版にして最終章の「さらばあぶない刑事」が大ヒット中だ。
<荒井幸博のシネマつれづれ> さらば あぶない刑事

 横浜港署の刑事タカこと鷹山敏樹(舘ひろし)とユージこと大下勇次(柴田恭兵)は定年退職を5日後に控えていた。
 今では上司になった後輩・町田透(仲村トオル)はおとなしく定年を迎えるよう2人に懇願するが、どこ吹く風の2人はアジアマーケットを制した凶悪な中南米マフィアとの壮絶な戦いに挑むのだった――。

 主演の舘と柴田は60代半ばだが、軽妙でユーモラスなアドリブ混じりのトークや、ハーレー・ダビットソンに乗りながらの舘ショットガン撃ち、柴田の全力疾走とドライブテクニックなどが健在なのが嬉しい。
 仲村、浅野温子、ベンガル、山西道広、伊藤洋三郎、木の実ナナといったオリジナルメンバーも顔をそろえる。
 またタカ&ユージに立ちはだかる最強最悪の敵役・吉川晃司の凄みと弟分役の夕輝壽太(ゆうき じゅった)の凶悪さはシリーズ中出色。タカの恋人役の菜々緒も健闘。

 本作のメガホンを執ったのはテレビ版から演出を手がけ、劇場版も3作目となる村山市出身の村川透監督。その村川監督の映画人生を綴(つづ)った本「映画監督 村川透~和製ハードボイルドを作った男~」(山本俊輔、佐藤洋笑共著)が1月22日に発売された。
 村山市でガキ大将だった子ども時代から現在までを本人のインタビューと関係者の証言を中心に構成した貴重な1冊。監督とは40年近い付き合いになる「あぶ刑事」の舘と柴田が登場するのはもちろん、「野獣死すべし」など映画5本と「探偵物語」などテレビドラマで名コンビを組んだ故・松田優作との仕事の項など興味は尽きない。

 山形人の大半がそうであるように、アピール下手のせいか過小評価されてきた気もする村川監督だが、漸(ようや)く正当な評価を得られた感がある。


<荒井幸博のシネマつれづれ> さらば あぶない刑事
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。