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<荒井幸博のシネマつれづれ> 人生の約束

2016年1月8日
巨匠・石橋冠が贈る感動作

 IT企業トップの中原祐馬は業績拡大に邁進(まいしん)してきたが、元共同経営者で親友でもあった塩谷航平から無言の留守番電話が入っていることに胸騒ぎを覚え、航平の故郷の富山県・新湊(しんみなと)を訪れる。
 だが航平は既にガンで他界していた。かつて航平を会社から放逐(ほうちく)した祐馬を、航平の遺族は怒りをもって出迎える。
 そんな中、仕事一筋で家庭すら持たない祐馬は新湊の伝統行事である「曳山祭(ひきやままつ)り」に出会う。祭りを愛する人たちとの交流を通して人生を見つめ直し、人間として大切なものを取り戻していく祐馬だった――。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 人生の約束

 79歳のテレビドラマ界の巨匠・石橋冠(いしばし かん)監督が満を持して初めて映画に取り組んだ作品。
 「2丁目3番地」(1971)、「冬物語」(72)、「さよなら、今日は」(73)、「池中玄太80キロ」(80)、「昨日、悲別で」(84)等々、青春時代に夢中になったTVドラマの大半は石橋監督の演出だった。憧れの石橋監督にお話を伺う。

 「主演の竹野内豊さんは一緒に仕事をしたことはなかったが、前から気になる俳優で、初めて撮る映画にはぜひ主演して欲しいと思っていた。思った通りの素晴らしい俳優さんで、芝居ではほとんど指示する必要がありませんでした」と絶賛。

 竹野内さんに伺うと「あの石橋監督の初映画作品の主演というのは身に余る光栄。難しい役で自分でいいのかという戸惑いはありましたが、監督や共演者、地元の人たちに背中を押されて自然に演じられました」と誠実に答えてくれた。

 江口洋介、西田敏行、ビートたけし、柄本明、松坂桃李、室井滋、小池栄子、優香、米沢市出身の眞島秀和、美保純、市川実日子、梨本謙次郎ら豪華メンバーが石橋監督のもとに集結し、脇を固める。
 曳山祭りは「新庄まつり」を思わせ、盛り上がる漁師歌が懐かしい「ワシントン広場の夜は更けて」の替え歌だったことにもシンパシーを感じた。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 人生の約束
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。