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《セピア色の風景帖》 第91回 旧村山市立図書館

2016年1月8日
 大正9年に建設された旧村山市立図書館は、もとは地元の大地主だった喜早家(きそうけ)が屋敷内に作った私立楯岡図書館(たておかとしょかん)が前身。その後「喜早図書館」「楯岡町公民館」と名称を変え、昭和54年に市立図書館になった。
《セピア色の風景帖》 第91回 旧村山市立図書館

 建物は瓦(かわら)屋根の木造2階建てで、和風構造ながら洋風の香りを漂わせた洒落(しゃれ)た造りだった。利用者は家屋に上がるように玄関で靴を脱ぎ、閲覧(えつらん)、学習など目的に応じた部屋に向かった。
 今の感覚からすれば手狭な感じもしたが、落ち着いて本に親しめる質の高い空間だった。利用する子どもたちも静かに行儀よく利用していた。

《セピア色の風景帖》 第91回 旧村山市立図書館

 だが、建設後90年を過ぎた2010年、さすがに老朽化も限界とみなされ、図書館機能は新たに建設される甑葉(しょうよう)プラザに移されることになった。
 大正時代の貴重な建造物だっただけに、何らかの目的に姿を変えて保存することも期待されたが、図書館の役を解かれると間もなく建物は取り壊され、跡形もなくなってしまった。(F)