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<荒井幸博のシネマつれづれ> グラスホッパー

2015年11月13日
「伊坂ワールド」を映画化
 ハロウィンの日に渋谷のスクランブル交差点で恋人を暴走車にひき殺されてしまった鈴木。彼は心優しく、気弱な性格だったが、復讐のため教師の職をなげうって裏組織への潜入をはかる。一方、人の心を狂わせ、絶望させて死に追いやる自殺専門の殺し屋〝鯨(くじら)〟は組織に雇われていた。だが組織は口封じのため鯨を消そうと、驚異的な身体能力を持つ凶暴な若い殺し屋〝蝉(せみ)〟を差し向ける。
 心に悲しみや闇を抱える鈴木、鯨、蝉の3人の男たちは次第に一つの場所に吸い寄せられていくのだった――。
<荒井幸博のシネマつれづれ> グラスホッパー

 主人公・鈴木を演じるのはジャニーズきってのイケメンで、身体能力にも優れる生田斗真。事件に巻き込まれ、振り回される普通の男を見事に演じきっている。
 鯨に海外でも評価が高い浅野忠信。クールでありながら、過去に殺した人間の亡霊に取り憑かれた殺し屋ができるのはこの人だけ。全身凶器のような殺人者・蝉を演じた山田涼介もハマリ役。
 鈴木の恋人役をNHK朝の連続テレビ小説「あさが来た」ヒロイン・波瑠が演じるほか、石橋蓮司、菜々緒、村上淳、宇崎竜童、吉岡秀隆、麻生久美子、金児憲史、佐津川愛美、山崎ハコなど個性豊かな俳優陣が脇を固めている。

 原作は仙台在住のベストセラー作家、伊坂幸太郎の同名小説。過去に何度も映画化の話が浮上するも実現は困難とされてきた。待望の映画化にあたり、伊坂本人が「犯人に告ぐ」「脳男」でメガホンをとった瀧本智行監督を希望したという。 

 瀧本監督に話を伺うと「光栄で嬉しかったけど、自分でいいのかというプレッシャーもありました。だから『脳男』でタッグを組んだ生田君に主演をお願いしました」とのこと。
 生田さんに伺っても「伊坂作品のファンは多いですが、瀧本監督とならやれると思いました」とキッパリ。
 2人の強い信頼関係が伊坂ワールドを見事に映画化する原動力になった。


<荒井幸博のシネマつれづれ> グラスホッパー
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。