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続・レトロやまがた再発見/(53)夕鶴の里資料館(南陽市)

2014年4月11日
 南陽市役所から市街地を西に進むと漆山地区に入り、織機川(おりはたがわ)にかかる橋を渡ると、ほどなく右手の住宅の背後に巨大な3階建ての土蔵が目に飛び込んできます。これは大正14年建造の繭蔵だった建物で、現在は地区に伝わる有名な民話「鶴の恩返し」にちなむ文化施設「夕鶴の里資料館」になっています。
続・レトロやまがた再発見/(53)夕鶴の里資料館(南陽市)

 置賜地方は藩政時代から養蚕と機織りが盛んで、明治時代に入ると近代的な製糸工場で生産された世界最高級の生糸は欧米に輸出され、彼の地の商人が直接この漆山地区まで買い付けに訪れたほど。地区内は製糸工場で働く多くの若い女工さんたちで賑わい、休日には演芸や映画、サーカスなどを見物するため隣の宮内に向かう彼女たちの群れができたと伝えられています。

続・レトロやまがた再発見/(53)夕鶴の里資料館(南陽市)

 資料館の前身である繭蔵の大きさから当時の繁栄は充分に忍ばれますが、その製糸業は戦後になると化学繊維の普及で衰微していきます。やがて繭蔵としての役目を終え、民話伝承と生糸産業の歴史をとどめる展示施設として生まれ変わったのが平成5年。敷地内には「語り部の館」が併設されています。

山形歴史たてもの研究会
小林 和彦