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医学のうんちく/男性の生殖能力

2013年12月13日
 男性の生殖能力は年齢とともに低下していきます。

精液の量と質が低下

 男性ホルモンは30歳ごろから除々に減少し、精液の量や質に影響を及ぼします。米コロンビア大学の研究チームは2006年、加齢とともに精液量は1年で0・15~0・5%ずつ減少、正常な形態の精子数も1年で0・2~0・9%ずつ減少すると報告しました。精子の運動率も50歳を過ぎると30歳以下に比べ約30%低下するとしています。

医学のうんちく/男性の生殖能力
伴侶の妊娠にも影響

 こうした精液の量や質の低下は妊娠にも影響を与えます。50歳以上の男性の場合、30歳以下の男性に比べ伴侶が妊娠する確率は23~38%低下するという報告があります。
 また45歳以上の男性は25歳以下の男性より伴侶が妊娠するまでの期間が5倍長くなると報告されています。

流産の心配も

 加齢とともに精子を作る細胞のDNA障害も多く認められるようになります。母親の年齢が高いと自然流産しやすくなることは知られていますが、父親の年齢による影響も同様で、50歳以上の男性は50歳未満の男性の約2倍の確率で自然流産しやすくなります。 

ダウン症などにも関係

 ニューヨーク州保健局によれば、ダウン症の発生率は35歳以上の女性で111%、35歳以上の男性で60%増加します。精子を作る細胞の遺伝子異常が主な原因である統合失調症の発生率は、20歳代の男性と比較して45歳以上の男性で約2倍、50歳以上で約3倍に増加します。

知っておきたいリスク

 女性は閉経により否が応でも生殖可能な期間の終わりを知らされます。男性における生殖期間の終焉が明らかでないことは悩ましいところですが、加齢による精液の変化とそれに伴う弊害は念頭に入れておく必要があります。


医学のうんちく/男性の生殖能力
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次 (ささがわ・いそじ)
プロフィール
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。95年からHawaii州立大学医学部で「雄性細胞の核移植(不妊治療)」について研究。02年に「男子外性器異常の発症における分子生物学的解析」で「とやま賞」受賞。04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。