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続・レトロやまがた再発見/(39)新宿警備所(朝日町)

2013年1月11日
 朝日町役場から東に徒歩15分ほどの丘陵沿いに新宿(あらじゅく)と呼ばれる集落があり、そこに小江戸のような情緒を漂わせた建物があります。これは戦争中まで集落の防火拠点だった警備所です。
続・レトロやまがた再発見/(39)新宿警備所(朝日町)

 建造は明治時代で、1階は消防ポンプの格納庫、2階は「火の見櫓(みやぐら)使われていました。
 戦前の農村といえば茅葺(かやぶき)屋根がほとんどで、防火は村落の存亡にかかわる重大事。防火拠点も火災発見と早期鎮火という本来の目的だけでなく、村民につね日ごろから防火意識を持たせようという狙いがあったのか外観もユニークです。
 集落全体が見渡せるような高さはありませんが、小型タワーのような形だけでなく2階に小粋な扇形の窓など個性的な意匠が施されているのが特徴です。

続・レトロやまがた再発見/(39)新宿警備所(朝日町)

 新宿集落は明治以降は養蚕(ようさん)の村として栄え、この警備所のすぐ近くには蚕室(さんしつ)を備えた巨大な民家や当時の財力を表す立派な門構えと石垣で囲まれた豪壮な屋敷も見受けられます。西方に雄大な朝日山系をながめながらの散策も楽しいものです。

山形歴史たてもの研究会
小林 和彦