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医学のうんちく/涙とフェロモン

2012年12月28日
 フェロモンとは動物が体内で生成して体外に分泌し、それにより同種の他の個体に一定の行動を起こさせる物質です。

相手を欲情させる

 フェロモンには仲間に危険を知らせる警報フェロモン、食物や巣の場所を知らせる道標フェロモンなどがありますが、一般的には性的発情を誘発させる性フェロモンが知られています。

医学のうんちく/涙とフェロモン

雄ネズミの涙に!

 フェロモンは尿や生殖器からの分泌物に含まれると考えられていましたが、2005年に東大の研究チームが雄ネズミの涙の中に雌が交尾に応じやすくなるフェロモンが含まれていることを発見しました。ネズミなどのげっ歯類は視力が悪く、出会うと顔と顔をこすりつけますが、この行為はフェロモンをなすりつけるための行為と考えられます。

人間は生成できず

 まさに画期的な発見ですが、残念ながら人間はこのフェロモンを生成できません。人間は視覚が発達し、目で見て判断することが多くなったために直接触れ合うことでフェロモンを認識する必要性がなくなり、退化して失われたと考えられます。男性の涙では女性を誘惑できないようです。

女性の涙には…。

 涙といえば、イスラエルの研究チームは昨年、女性が悲しい時に流した涙を採取して男性の鼻の下に置いてにおいを嗅がせたところ、その男性は女性に対して性的魅力を感じにくくなることを突き止めました。
 その男性は心拍数、皮膚温度や血液中の男性ホルモン濃度が下がることも確認されました。また男性の脳をMRIで調べたところ、性的興奮を感じる視床下部(ししょうかぶ)などの活動性が弱くなっていることも分かりました。
 つまり女性の涙には男性の性的興奮を減退させる成分が含まれていたわけですね。古来、男性は女性の涙に弱いとされてきたのも納得です。


医学のうんちく/涙とフェロモン
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院長
笹川 五十次 (ささがわ・いそじ)
プロフィール
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。95年からHawaii州立大学医学部で「雄性細胞の核移植(不妊治療)」について研究。02年に「男子外性器異常の発症における分子生物学的解析」で「とやま賞」受賞。04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。