前立腺のお話(中)
前立腺ガンの罹患率 将来は肺ガンに次ぐ
前立腺ガンの罹患率はアメリカでは10万人当たり93.4人と最も高く、日本は8.5人にとどまっています。ただ日本でも2020年には肺ガンについで2番目の罹患数になると予測されています。
死亡率も2.8倍に
また前立腺ガンの死亡率は世界では10万人当たり8.2人、日本でも8.4人。2000年に比べ2020年には2.8倍になると予測されています
(図1)
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多くは遺伝的要因
現時点で最も確実な危険因子は遺伝的要因です。近親者に1人の前立腺ガン患者がいる場合は罹患危険率は2倍になり、2人以上の場合は5〜11倍です。確実な証拠はありませんが、動物性脂肪を摂取する機会の多い西洋式の食事様式が前立腺ガンの危険性に関与することが示されています。
男性ホルモンも原因か
また、男性ホルモンの存在が前立腺ガンの原因とされています。前立腺肥大症が主に前立腺の移行領域に発生するのに対し、前立腺ガンは辺縁領域に多く発生します。そのため、早期にはほとんど無症状のままでゆっくりと進行します。
排尿症状に要注意
前立腺肥大症とガンが同時に発生することがあるため、排尿症状を認める場合はガンを疑う必要があります。排尿障害で受診した場合、約7%にガンが発見されています。
最初の診断 スクリーニング検査から
まず前立腺ガンの疑いがあるか調べるためにスクリーニング検査を行います。
次にPSA測定
次のステップの検査は、血液中の前立腺特異抗原(PSA)と呼ばれる物質の測定です。 PSA はタンパク質の一種で、前立腺ガンや前立腺肥大症になると血液中の量が増え、特にガンが進行するほど増加します (図2) 。
PSAの正常値は決まっていませんが、実際の診断では、1ミリリットルあたり4ナノグラム(ナノグラム=1億分の1グラム)以上の場合精密検査が必要とされます。 前立腺ガンの生検陽性率はPSAが1ミリリットルあたり4〜10ナノグラムで25〜30パーセント、1ミリリットルあたり10ナノグラム以上で50〜80パーセントと上昇します。
直腸診・超音波検査も
その他の検査として、肛門から指を入れて硬くなっている部分を直接確認する直腸診や、前立腺の形や大きさを調べる超音波検査があります。通常はこの3つの検査を組み合わせて前立腺ガンを発見します。
疑わしい場合は…
スクリーニング検査で前立腺ガンが疑わしいと診断された場合は、前立腺組織の一部を細い針を用いて採取し、顕微鏡でガン細胞の有無を調べる前立腺生検を行います。通常は、超音波を用いて前立腺を観察しながら、計6〜12ヶ所の組織を採取します。
生検の結果、前立腺ガンであると診断されると、ガンがどこまで広がっているかを調べます。そのために、MRI検査、CT検査や骨シンチグラフィーなどの画像検査を行います。
1982年(昭和57年) 富山医科薬科大学(現富山大学) 医学部卒業。86年、同大大学院医学研究科終了、医学博士号取得。山形大学医学部泌尿器科講師などを経て、95年にハワイ大学医学部生殖生物学教室に留学 。04年に山形徳洲会病院副院長、08年から院長を務める。
