目からウロコの法律相談 / 遺言書のABC(中)
遺言書の作成方式には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3通りがあり、前号では「自筆証書遺言」について紹介しました。今回は残る2方式のお話です。
「公正証書遺言」は遺言者が2人以上の証人の立会いのもとで遺言内容を説明し、公証人が作成する遺言書です。遺言書の原本は公証役場で保管することになります。
この方式は無効になる場合がほとんどなく、争いになるケースが少ないというメリットがあります。公証人は自宅や病院にも出張してくれますので、障害があり動けないような方にお勧めです。
ただ証人を確保する必要があるほか、公証人への手数料もかかります。弁護士に依頼した場合は弁護士と当該弁護士事務所の職員が証人となることができます。
「秘密証書遺言」は遺言書の内容が第三者に漏れることのないように配慮している点が特徴です。
遺言者が自分自身、または第三者に書いてもらった遺言書に署名押印して封筒に入れて封印し、2人以上の証人の立会のもとで、公証人に対して自分が作成した遺言書であることを述べるなどの手続きを必要とします。手続きはやや煩雑ですね。
最後に住宅ローンがあるとのことですが、これは債務、つまりマイナスの遺産です。不動産や預貯金のようなプラスの遺産と異なり,債務のようなマイナスの遺産は遺言があったとしても法定相続分に従って相続されます。
仮に遺言で「不動産を取得する妻のみが住宅ローンを負担する」と記しても、住宅ローンの債権者である銀行に対して「住宅ローンは妻のみが相続し、息子達は住宅ローンを相続しない」と主張することは出来ません。
(訂正)前号で「容の遺言」とあるのは、編集部の校正ミスにより「同一の内容の遺言」の誤りでした。
1958年(昭和33年) 天童市生まれ。山形東高、東北大法学部卒後、仙台地方裁判所へ。平成13年10月、弁護士登録、武田法律事務所で弁護士活動に入る。東北芸術工科大学非常勤講師(憲法)。山形家庭裁判所家事調停委員。49歳。
