徹底して山形に密着したフリーペーパー

株式会社シベール

2006年9月22日
シベールは以前から一度訪問したいと考えていた。山形に来てようやくその夢が実現した。
株式会社シベール

ラスクでトップシェア

 シベールはフランスパンベースの焼き菓子である高級ラスクでトップシェアを持つ。ラスクなどを全国に販売する通信販売事業と、自社店舗で洋菓子やパン、外食を提供する店頭販売事業が二本柱になっている。
 熊谷眞一社長は街の小さなケーキ屋からスタート。ラスクを山形の名産に引き上げ、2005年にジャスダック上場を果たした立志伝中の人物だ。

データが示す優良企業

 私はシベールのラスクを関東の企業経営者に紹介したところ、奥さんがファンになり、奥さんがそのまた友人に紹介するのを目の当たりにした。シベールの急成長の原動力となった通信販売事業は、こうした「そよかぜマーケティング」で成長してきた。
 店頭販売事業では山形市周辺で地歩を固め、最近は天童市や仙台エリアへ積極的に出店している。
 経営面では食品系上場企業の中でも良好な財務状況を誇っており、商品力、成長性、財務のどこを見ても優良企業と言える。

景気変動にも強く

 技術面でシベールの特徴は、品質のよいフランスパンを量産することができるところにある。余ったフランスパンの再利用ではなく、専用のフランスパンから贈答品にも使用できる高品質ラスクを製造する。
 ラスクの価格帯は贈答品としては低いので、個人需要をガッチリととらえている。贈答品であるため季節変動は大きいが、法人需要の贈答品に比べると景気変動の影響を受けにくい安定した事業構造となっている。
 私はシベールと業態や売上高がほぼ同じという成長企業A社とも交流があるが、そこの社長が「ラスクはイーストを使うので他の菓子と同じ工場では生産したくない」と話していたのを覚えている。このあたりもシベール独走の一因になっているようだ。

競争は激化へ

 ただ追随する企業も少なくない。特に給食パン工場の活用からラスクに参入したB社は、この5−6年で売上高を10倍以上に伸ばし、シベールの3分の1まで迫ってきた。
 「独占契約で仕入れている最高級バターの酸化防止技術を完成させている間に熊谷社長に先行された。」とB社の社長は残念がる。B社のプレーンラスクの品質はなかなかのもので、高級ホワイトチョコレートでコーティングした派生ラスクの商品力も高い。
 ただ、こうした追随企業の急成長は熊谷社長が市場を創造したからこそであり、先駆者としてトップを走っているのは現在もシベールであることは間違いない。

人材育成がカギ

 シベールは中小企業から短期間に山形を代表する企業へと進化した。現在は新たなフロンティア市場を開拓する一方、並行して経営システムを確立していく局面にあるといえるだろう。
 いっそうの成長を目指していくには[1]人的資源管理[2]情報技術(IT)を活用した品質リスク管理[3]ブランド管理−−が不可欠。これら3点を中長期の視点からブラッシュアップしていく戦略の優先順位が高いだろう。そのあたりに注目していきたい。

■株式会社シベール
・社長 熊谷眞一氏
・所在地 山形市蔵王松ケ丘2‐1‐3
・設立 1970年
・資本金 4億8835万5000円
・売上高 38億6500万円
・従業員 205人
・業種 洋菓子・パン製造