徹底して山形に密着したフリーペーパー

シベール社長 熊谷 眞一 氏

2006年11月10日
熊谷 眞一(くまがい・しんいち) 1941年(昭和16年)、山形県大江町生まれ。60年山形商業高校卒業後、仙台市、新潟県三条市、東京での菓子職人の修行を経て、父親が営む和菓子店「松月堂」へ。66年に山形市に洋菓子店「シベール」を創業。65歳。
シベールは2005年7月にジャスダック市場に上場。06年8月期の売上高は40億5400万円。
シベール社長 熊谷 眞一 氏

創業時のチャレンジ精神を持ち続けたい

――会社創立40年を迎えましたね。
 「シベールを会社化したのは昭和45年でしたが、市内緑町で洋菓子専門店シベールを開店したのはその4年前。25歳の時でした。店舗は間口2.7メートル、奥行き4.5メートル。まだ独身で従業員もおらず、1人だけの創業でした」
 「当時、洋菓子専門店は県内では初めて。これが新鮮に受け止められ、運に恵まれたこともあって創業時から比較的順調にこれたと思います」

ラスク製造が転機に

――シベールはラスクが全国的に有名です。

 「ラスクの事業化が転機でしたね。洋菓子専門から10年後にパン製造に手を広げたのですが、売れ残ったフランスパンをスライスして味付けしたところ、これが美味しかった。ラスク単独の商品として売り出したのは全国でも初めてでした」
 「結局、菓子職人としてもパン職人としても、技術者としてのレベルは高くなかったんでしょうね(笑)。でも、それが逆に幸いして、事業家としての目で自分の商品をみることができた」
 「有名な芸能人や作家の方々がラスクのファンになってくれて、テレビや雑誌で紹介してくれて。口コミが全国に広がり、初年度900万円だったラスクの売上高は2年目に5000万円に拡大、現在は22億円に達しています」

人材育成に力

――この間、苦労はなかったのですか。
 「やはり人ですね。売り上げが増え、店舗網も広がっていくと、どうしても私1人では目が行き届かなくなる。社内の人材育成には現在も力を入れています」

シベール社長 熊谷 眞一 氏
引き際は美しく

――以前から70歳までには経営の一線から退くと公言されていますね。
 「パン製造で酵母は重要ですが、酵母が残るとパンはおいしくなくなる。私も酵母のように会社からきれいに去っていくのが理想です。 70歳前には会長に退くつもりで、後継者の序列も決めました。消えたはずの酵母がいつのまにか再発酵していた、なんてことのないようにしないと(笑)」
 「それまでにシベールブランドのネットショップを軌道に乗せたい。お客様が楽しいと思ってくれるような仕掛けづくりを絶えず続けていきます。つねに創業時のチャレンジ精神を失わず、シベールのDNAを全社員が共有する組織を目指していきたい」