ムービーオン専務 飯野 昇悦 氏
「シネマ旭」閉館
断腸の決断でした――
──閉館した「シネマ旭」にお邪魔しています。
山形の映画館の象徴
「中心街でこんなに大きくて立派なつくりの映画館はどこにもないって今でも言われる。スクリーンの位置は今よりさらに20メートルぐらい奥にあって、800人まで収容できた。とにかく山形の映画館といえばシネマ旭だったのよ。だからここにはいろんな思い出があるけね」
「今じゃ配給会社からの仕入れは興行収入に応じた歩合契約だけど、昔は一定額で買うフラット契約が多かった。『エマニエル夫人』なんて100万ちょっとで買ったのに3000万以上稼いで、あの年はボーナスも100万円ぐらい出たけかな(笑)」
――ボロ儲けですね(笑)
ほろ苦い経験も
「失敗もあんのよ。今でも悔やまれるのが『トップガン』と『キングコング2』のどっちかを選ぶことになって、決めた『キングコング2』が惨敗。でも当時は面白いもんで、興行で失敗しても配給会社が何とか面倒みてくれたの。成功したって黙ってれば配給会社にはわからないし(笑)」
悩んだ閉館の時期
――正月って書入れ時でしょ? それまで続けるっていう選択肢はなかったんですか。
「周りからは何でこの時期にって言われたし、吉村さん(注・吉村和文ムービーオン社長)からも『嶋のシネコンができる来春まで続けられないか』って。だけどコストがかかんのよ。特に今年は暖房用の油の値段が上がって…。昔は客の熱気で使う油も少なくてすんだけど、今は客も少ないから。建物が大きい分、コストはかかるわけさ」
大切な「引き際」
「最終的にはカネの問題じゃなくて、みんなにいい思い出を残して終わりにしたかった。『シネマ旭に行ったけど寒かった』とか、『人件費削減で客サービスが悪かった』とか後々まで言われるのはツライ。そんなマイナスのイメージを新しいシネコンに引き継ぎたくなかったんです」
――シンミリしちゃう話ですね。
シネコン間の競争に
「街中の映画館はどこも苦しいのよ。周りの商店街からは活性化のために残してくれとか、行政からは映画祭のために残してくれとかお願いされるけど、資金的に援助してくれるわけじゃないし」
「興行形態は変わってきた。これからはシネコン間の競争で、やるからには勝ちますよ」
