東北芸術工科大学 名誉教授 日原 もとこ氏
後世に残したい 山形の風土・色彩――
山形でも「騒色」傾向
――環境色彩学の観点から山形、どうですか?
「よそ行きの『ハレ』と日常の『ケ』という区別があるでしょ。全国的にもそうなんですが、ハレへの偏重が進んでいると思います。その色は自ずと派手系で、目立つことを狙った原色、対比色になる」
「もっと品格があって、魅力のある訴求の仕方があるはずなのにね。日本、ましてここ山形は古来、ケの抑制色こそが基本色だったはず。ハレ偏重の色彩は『騒音』と同様、『騒色』になります」
歯止め必要に
――東京とか他府県に比べれば山形、マシだと思ってましたけど。
「全国展開の会社が進出するようになって顕著になりましたね。田園風景の中に突如あらわれる巨大な立て看板とか、外壁そのものが広告媒体になっている郊外店とか。山形の美観を台無しにしていると思います」
――ラッピングバスとかもダメですか?
「ダメです。私も委員を務める県景観審議会で議論を進めていますが、ハレ偏重の風潮に歯止めをかけていきたい」
――広告、減ったら困るんですけど…(苦笑)。話題変えて、どうして山形に来られたんですか?
一目ぼれで永住
「これはもう一目ぼれですね。通産官僚として東京で暮らし、ずっと探し求めていたものを山形で見つけたっていう感じ。それは自然や歴史であったり、人情であったり、食べ物であったり。以前は賃貸マンション暮らしでしたが、今は一軒家も購入し、住民票も移して永住する予定です」
――ボクも含めてそういう県外人、多いですね。
「私の場合、山辺町の作谷沢地区との出会いが大きかった。作谷沢は古くは密教の修験場として栄えたところで、東の雷山、西の丸森山、南の白鷹山、北の神山の4つの山頂を結ぶひし形の中に神社や寺、民家がスッポリとおさまっているの」
「神仏と人と自然が共生する空間で、独特のオーラを発している。作谷沢を初めて訪れた時、『ここが私を呼んでいる』って感じました」
「作谷沢が呼んでいる」
――なんか千歳サン(注=千歳栄・千歳建設会長)の世界ですね(苦笑)
「千歳会長、親炙( しんしゃ)してます」
――先生、誰かに似てるっていわれません?
「時々言われますけど、誰ですか?」
――怒りません?
「怒りませんよ」
――女優の白川和子って人なんですけど。
「……。その人、知らないなあ」
